胆道ドレナージとは

胆道ドレナージとは、胆管や胆嚢にたまった胆汁を体外または十二指腸へ流す治療です。胆管がんや膵頭部がん、総胆管結石などで胆管が詰まると、黄疸や胆管炎(細菌感染)を起こすため、胆汁の通り道をつくって黄疸を改善(減黄)します。この記事では、略語の読み方、ドレナージの種類、排液の観察や管理のポイントをまとめます。

胆道ドレナージの略語(PTCD・ENBDなど)は「パーツ」に分けると読める

胆道ドレナージには略語が使われます。それぞれのアルファベットの意味を知るとPTGBDと記載されていてもどのような経路でドレナージされているかが分かります。

文字英語意味
PPercutaneous経皮(皮膚を通して)
TTranshepatic経肝(肝臓を通して)
CCholangio胆管
GBGallbladder胆嚢
EEndoscopic内視鏡的
NNaso経鼻(鼻から)
RRetrograde逆行性(十二指腸の側から入る)
BBiliary胆道
DDrainageドレナージ(排液)

たとえば PTCD は Percutaneous Transhepatic Cholangio Drainage、つまり「皮膚から肝臓を通って胆管に入れるドレナージ」です。

ENBD は Endoscopic NasoBiliary Drainage、「内視鏡で入れて鼻から出す胆管ドレナージ」と読めます。

胆道ドレナージの種類一覧(PTCD・PTGBD・ENBD・ERBD・Tチューブ)

略語日本語ルート外瘻/内瘻
PTCD経皮経肝胆管ドレナージ皮膚→肝臓→肝内胆管。右側腹部などから体外にチューブが出る外瘻
PTGBD経皮経肝胆嚢ドレナージ皮膚→肝臓→胆嚢。急性胆嚢炎で手術が難しいときなどに行う外瘻
ENBD内視鏡的経鼻胆管ドレナージ口→十二指腸乳頭→胆管。チューブは鼻から体外へ出る外瘻
ERBD(EBS)内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(胆管ステント)十二指腸乳頭から胆管にステントを留置。体外にチューブは出ない内瘻
TチューブTチューブドレナージ総胆管を切開した手術後に留置。T字型のチューブで、皮膚から体外に出る外瘻
Cチューブ胆嚢管ドレナージ胆嚢管から胆管内に留置するチューブ。胆管の手術で用いる外瘻

外瘻は胆汁を体外のバッグに出す方法で、量と性状を直接観察できます。内瘻は胆汁が十二指腸に流れるため、排液の観察はできません。黄疸、発熱、腹痛、検査データ(ビリルビン、肝胆道系酵素)で効果を判断します。

そのほかに、超音波内視鏡を使って胃や十二指腸から胆管を穿刺する EUS-BD(超音波内視鏡下胆道ドレナージ)もあります。

胆道ドレナージの看護のポイント

胆汁排液の観察(色・量・性状)

  • 正常:黄色〜黄褐色〜緑がかった色で、さらっとしています。量は1日に数百mL程度ですが、閉塞の程度や肝機能で変わります。
  • 血性:胆道出血の可能性があります。PTCDは肝臓を穿刺するため、挿入後は特に注意し、血圧低下や頻脈を伴えば緊急で報告します。
  • 混濁・膿性:胆管炎の可能性があります。発熱、悪寒、腹痛とあわせて報告します。
  • 急に減った、出なくなった:チューブの屈曲、閉塞、逸脱が考えられます。胆汁がたまると胆管炎を起こすため、早めに報告します。
  • 急に増えた:チューブの位置変化や、肝機能・閉塞状況の変化の可能性があります。量と性状を記録して報告します。

ドレーン管理の注意点

  • 固定と長さの確認:刺入部のチューブ位置(目盛りやマーキング)を毎回確認し、逸脱していないかを見ます。ENBDは鼻翼の固定と、口腔内でチューブがとぐろを巻いていないかも確認します。
  • バッグの高さ:逆行性感染を防ぐため、原則として刺入部より低い位置で管理しますが、高さは医師の指示を確認します。
  • 胆汁の喪失:外瘻では胆汁が体外に出るため、脱水や電解質異常(ナトリウム、カリウムの低下)、食欲低下が起こることがあります。IN/OUTと電解質を確認しましょう。
  • 洗浄(フラッシング):ドレナージチューブは細いため詰まることがしばしば起こります。その場合医師の指示に従い、少量の生理食塩水で洗浄することがあります。強い圧で注入すると胆管内圧が上がり、菌血症や胆管炎の原因となることがあります。
  • 刺入部のケア:胆汁漏れによる皮膚びらんに注意し、皮膚保護を行います。
  • 自己抜去の予防:特にENBDは鼻から出ていて違和感が強く、自己抜去しやすいため、固定を工夫し、必要に応じて説明を繰り返します。

胆管炎のサインとトラブル時の対応

胆管炎のサインとして、シャルコーの三徴(発熱・腹痛・黄疸)は覚えておきましょう。ドレナージが効いていないときに現れます。

トラブル対応
チューブが抜けかけた、抜けた再挿入は絶対にしません。刺入部を清潔なガーゼで保護し、すぐに医師に報告します。抜けると胆汁が腹腔内に漏れ、腹膜炎になることがあります
排液が止まった屈曲、ねじれ、体の下敷きを確認します。解決しなければ医師に報告します。無理に洗浄しません
発熱・悪寒・腹痛胆管炎の可能性があります。バイタルサインを測定し、排液の性状を確認して報告します
血性排液が増えたバイタルサインを確認し、緊急で医師に報告します

まとめ

胆道ドレナージは、略語を「経路のパーツ」に分けて読むと種類を理解しやすくなります。外瘻は排液の色・量・性状を、内瘻は黄疸や発熱、腹痛などの症状と検査データを観察します。チューブの逸脱や閉塞、胆管炎のサインを早めに見つけて報告することが重要です。

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ABOUT ME
azuki
大学病院の外科病棟・集中治療室で十数年の実務経験があります。特定行為に係る研修制度を履修。休日は子どもたち3人、それからワンコと遊んでいます。