gtag('config', 'UA-209066861-1');
雑記

集中治療室での看護業務

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

集中治療室って特殊な環境ですよね。

患者さんだけでなく医療者にとっても特殊ですし、病棟経験しかない方にとっては未知の領域と感じる方もいるかもしれません。

看護学校によっては集中治療室実習があるところもありますが、私の出身校にはそんなカリキュラムはありませんでした。

ここでは看護師の集中治療室でのお仕事内容を紹介していきます

集中治療室とは

集中治療室はICU(Intensive Care Unit)と略されますが、日本集中治療医学会では集中治療、集中治療室をこのように定義しています。

集中治療とは、「生命の危機に瀕した重症患者を、24時間を通じた濃密な観察のもとに、先進医療技術を駆使して集中的に治療する」こと。そして集中治療室(ICU)とは、その集中治療のために濃密な診療体制とモニタリング用機器、また生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療空間をいう。

引用元:https://www.jsicm.org/public/intensivist.html

皆さんのイメージ通りの言葉が並んでいるのではないかと思います。

集中治療室の種類

集中治療室は役割によっていくつかの種類があるのをご存知でしょうか。

ほんとんどの病院は、成人系ICUと小児系ICUとCCUくらいに分かれていますが、さらに専門領域により区分・独立した集中治療室が設置されている病院もあります。

SICU(Surgical Intensive Care Unit)

外科系集中治療室の略で、大手術後の方を中心に治療とケアを行なっています。

CCU (Coronary Care Unit)

冠動脈疾患集中治療室の略で、心筋梗塞や心臓カテーテル術後の方などの治療とケアを行なっています。

SCU(Stroke Care Unit)

脳卒中集中治療室の略で、脳梗塞や脳出血の方などの治療とケアを行なっています。

PICU  (Pediatric Intensive Care Unit)

小児集中治療室の略で、小児の重症疾患と術後の方の治療とケアを行なっています。

MFICU(Maternal Fetal Intensive Care Unit)

母体・胎児集中治療室の略で、周産期に合併症をきたした妊婦とその胎児を対象としています。

NICU (Neonatal Intensive Care Unit)

新生児集中治療室の略で、未熟児や出産後間もない病児を対象としています。

GCU (Growing Care Unit)

移行期(回復期)治療室の略で、集中治療が必要なくなった新生児が対象となります。

その他疾患別のICU

それぞれの疾患別に独立して集中治療室が設置されている施設もあります。

脳神経外科集中治療室(NCU)、腎疾患集中治療室(KICU)、呼吸器疾患集中治療室(RICU)などに分類されます。

集中治療室に入室する患者像

集中治療室には一般的に重症な方が入室し、下記のような病態の方が対象となります。

  • 重症な病態により生命の危機的状態にある
  • 致死的病態に移行するリスクが高く、厳密な観察と治療が必要である
  • 大手術後などで全身管理、合併症予防のための治療と観察が必要である

イメージ通りといったところでしょうか。

集中治療室への入室の判断は医師です。診療科の医師の判断に加えて、集中治療室の病床管理は麻酔科が行っているところがほとんどです。通常診療科医師と麻酔科医師との連絡のうえ入室が必要であるかの判断が行われます。

集中治療室入室の要件

集中治療室に入室する患者像について紹介しましたが、集中治療室を運営するためには加算の要件を満たす必要があります。その要件とは、ICU用の看護必要度A項目3点以上を満たす方が70〜80%であることが定められています

ICU用の看護必要度A項目3点以上を取るためには

必要度A項目3点以上になるためには、輸液ポンプ、シリンジポンプを使用している事を前提としたときに、下記のようなモニタリングや治療が行われている必要があります。

  • 動脈ラインによるモニタリング
  • 輸血、血液製剤の使用
  • 人工呼吸器の使用
  • 持続透析(CHDF)の実施
  • ECMO、IABP等の体外循環の実施
  • スワンガンツカテーテルによるモニタリング
  • 中心静脈カテーテルによる圧モニタリング
  • 頭蓋内圧モニタリング

輸血、呼吸器、中心静脈圧モニタリング以外は一般病棟ではまず行わない内容ですね。

集中治療室の看護師配置

集中治療室管理料の要件として、看護師配置数を常時2対1とすることが定められています

一般病棟などは7対1などの配置基準がありますが、集中治療室の看護配置の一番の違いは常時であることです。

一般病棟では夜勤より日勤の方がスタッフは多いですが、集中治療室では休憩中も過眠中も常時2対1の看護要員がいなければなりません。

集中治療室の病床分夜間も看護師を配置しているので、空きベッドがあればその分他部署へ応援に行くことが多いです。

一般病棟のから集中治療室への異動

私自身一般病棟から、集中治療室へ異動を経験しました。

一般病棟勤務の時に思ってた事>

  • 2対1で看護しているのに退室時に綺麗に整ってないな
  • 集中治療室だとあまり動かされていないな、離床が進んでいないな
  • 人工呼吸器とかECMOとかに繋がってる方ばかりかな
  • 呼吸器も体外循環も知識がないし働くのは無理だな
  • 残業は少ないのかな
  • 集中治療室の看護師怖そう

こんな思いがありましたが、一番は実際に自分にできるのかと不安が強かったことを覚えています。

実際に集中治療室では呼吸器などに繋がっている方がほとんどだと思っていましたが、生命維持装置が必要な方は5割程度でした。(施設により状況は違います)

集中治療室の教育

クリティカルケアの知識がない中での異動でしたが、はじめは手術後で一晩在室する患者さんから受け持ちが始まりました。初めから重症患者さんの受け持ちはなく、同行などを経て受け持ちが割り振られます。

処置は胸腔穿刺などあまり病棟で行わないことも集中治療室では日常茶飯事です。

施設により違いはありますが、技術・知識の習得チェックリスト(教育的チェックリスト)に基づいて少しずつ経験を得ていきますので過度に不安に思わなくても大丈夫です。

それでも看護師経験があるなかで集中治療室に慣れてきたと感じたのは半年以降でしたので、その時は大変だったなとの記憶があります。

忙しさの違い

一般病棟では受け持ち患者数が多く、所定時間内に記録を行えないこともしばしばです。

オリエンテーションを行なったり、書けなかった記録を書いたり、処方を捌くので毎日1〜2時間以上の残業が当たり前でした。

集中治療室では経時的に観察記録を残し、水分出納やドレーン等排液量を評価するため記録をしながら業務をすすめます。

業務が残っても日勤と同人数看護師がいるので、処置などを夜勤に引き継ぐ事ができます。

しかし集中治療室では時間で決められた業務が多いことと、突発的な検査や処置、容体の変化がたるため急激に忙しくなるポイントがあります。

一般病棟は業務量が単に多く、集中治療室はギュッと忙しいといったイメージです。

集中治療室看護のやりがい

集中治療室にいる方は超急性期といえます。

悪くなる時も良くなるとかも変化が早いのが特徴です。1日の勤務で呼吸ケアを頑張って取り組んでバイタルサインやレントゲンの結果が良くなる事などその日の中でも変化があります。

集中治療室でのやりがいは、ケアの提供で状況が変わっていくのが分かりやすいこと、生命の危機的状態を脱した時、合併症を起こさずに集中治療室を出られた時など多くの場面で感じる事ができます。

集中治療室看護の大変さ

変化が早いのが特徴と申しましたが、悪化する兆候や症状を見逃してしまうと生命の危機的状態にすぐに陥ってしまいます。

また、集中治療室では全ての診療科を受け入れるため広く知識が求められるので学習を継続してできないとついていけなくなります

観察する上では小さな変化であっても大丈夫だろうとの考えではダメで、なぜ変化が起こったのか、その変化は何を意味するのか常に考える必要があります。

集中治療室であることの強み

生命維持装置を多数使用し、重症な方が多く、変化も早いのが集中治療室ですが、看護スタッフが多いのも特徴で、看護師以外にも多くの職種が携わります。

体位変換一つでも生命維持装置装着中ですと1人でできず、他2人で行うべきケアも多いです。病状の変化にも瞬発的に対応する必要がありますが、常に近くにスタッフがいるので相談しながら協働して治療・ケアにあたることができます。

多くの経験ができてかつ、チームワークを発揮しやすい環境であることが強みだと考えています。

まとめ

一般病棟から異動し集中治療室で勤務していますが、結果的に良かったと思っています。

クリティカルな分野の知識、スキルが求められますが、その分やりがいは大きく一度身についた経験は自身にもつながります。

いろんな経験を積んでみたい方、急性期病棟勤務だけど業務が介護的かなと感じている方は集中治療室での勤務を希望しても良いのではないかと考えます。

スポンサーリンク
ABOUT ME
azuki
某大学病院の一般病棟・集中治療室で十数年の勤務経験あり。特定行為に係る研修制度を履修。休日は子どもたち3人と遊んでいます。 このブログでは広く浅くをパッと調べる目的で始めました。休憩時間や通勤時間にでも見てもらえるツールになればと、不定期更新を続けたいと思っています。 また、今やネットサイトやYouTubeからでも手軽に勉強できる時代になりました。分かりやすいと思ったものはどんどん紹介していこうと思います。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA